【実話怪談】静寂の中で音を立てる者、お盆が過ぎた納骨堂にて

ご先祖や故人に寂しい思いをさせてる方は要注意!

日本で故人が眠る場所は、お墓以外にも納骨堂という場所があります。

納骨堂はお墓と違い、室内に故人の遺骨が集められ、昼でも静かな場所で安置されており独特の雰囲気があります。

今回はそんな、納骨堂に関する「実話怪談・怖い話」をお届けします。

静寂の中で音を立てる者、お盆が過ぎた納骨堂にて

これは今から20年程前、私がまだ幼かった時の話です。

その日は、母と一緒に祖父母のお骨が納めれている寺にお参りに行っておりました。

毎年お盆の季節になると、母と一緒にこのお寺に訪れるのですが、今年は母の仕事の都合でお盆から日をずらしてのお参りでした。

お盆中であれば、寺はお参りに来れた方々で賑わうのですが、この日は私達以外に誰も見かけませんでした。

去年と同じく、祖父母の骨堂にお供え物をして、線香を上げようとした時です・・・近くから「カタカタ」と小さな音が聴こえてくるのです。

小さい音ながらも、静まり返った納骨堂では充分に耳に届いてきます。

聞こえてくる音を頼りに辺りを見渡すと、2つ隣の骨堂の扉が揺れています。

地震かな?っと思ったのですが、周りの骨堂やお供え物など、天井に吊るされている電球なども揺れていないのです。

周囲を見回している間に気が付けば「カタカタ」と揺れるような音は段々と大きくなり、背中にゾクゾクと寒気を覚え始めました。

私は恐怖に耐え切れなくなり、不思議そうに私を見る母の手を無理矢理に引っ張りながら、納骨堂から出ました。

納骨堂から出ても、しばらくは背中に覚えた寒気が収まらずに足が震えていたのを覚えています。

心配そうに伺う母に納骨堂が怖い事を伝えましたが、母には地震のような音も寒気も感じないと言うのです。

納骨堂から帰る前に、お寺の住職に挨拶を済ませると言うので、帰り際に住職の元を訪れました。

母が住職との挨拶・雑談替わりに、先ほど納骨堂で私に起こった出来事を伝えると、「えっ?」と少し驚いた顔をしたのです。

そして、私が納骨堂で「カタカタ」と音が鳴っていた場所を伝えると、ため息混じりに話してくれました。

「カタカタ」と音を鳴らしていた骨堂は去年から管理してくれる親族が不在となった為、お寺が集合の骨堂に移す予定だったそうです。

ひとこと話し終えた住職は私に「お参りに来てくれる人が来てくれない寂しさを分かって欲しかったのかもしれないね、こういうことは時々あるんですよ・・・。」

住職からそのことを聞き、先程まで怖いと思っていた体験から言いようのない寂しさを感じました。

お寺から帰宅後は特段変わったことはありませんでしたが、その時から納骨堂など故人が眠る場所に訪れる際は人が多い季節や時間帯を選んでいます。

実話怪談を読んだ感想

多くの方が納骨堂のお参りに訪れ、騒がしくなるお盆の季節から少し日が経ち、お寺と納骨堂にも静けさが戻ったタイミングでの体験談です。

静まり返った納骨堂で線香を上げようとした時に、体験者は近くの骨堂から「カタカタ」と音を聞くのに始まり、背中に寒気を覚え始めます。

しかし、異変を感じているのは体験者だけで、一緒にお参りに訪れた母には何も聞こえず、感じず、ただ体験者の様子を伺うばかり。

恐怖のあまり、納骨堂を後にした先で住職から「カタカタ」と音を立てていた骨堂の事情を聴くことになります。

音を立てていた骨堂は近しい親族を亡くし、お参りに来てくれる人が居ないという内容でした。

お盆という季節もあり、多くの方がお盆参りに納骨堂を訪れます。

しかし、これだけ、多くの人が来るのに音を立てていた骨堂にはお参りに来てくれる親族はもういないのです。

故人としては放置される寂しさを訴えたのでしょうか・・・。

短い怪談ですが「怖さ」よりも「寂しさ」を感じる貴重な体験談でした。

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